英国の伝統料理「サンデーロースト」

2017.12.12

 英国オックスフォードから、日曜日に欠かせない伝統料理について、マダムノリコがお伝えします。多くのパブやレストランが、日曜限定のメニュー ”Sunday roast” を出します。オーブンで焼いた肉と野菜に、ソースやヨークシャープディングなどを盛り合わせた一皿は、ボリュームたっぷりな「イギリスの伝統料理」。家庭でもよく作られる、日曜日のごちそうです(ベジタリアンバージョンは、肉のかわりにナッツや豆、チーズで作ったローフが供されます)。

メィンの肉は牛、羊、鶏、豚で冬は野鳥も!

男性も大満足! マダムノリコの作った”Sunday roast”

 肉はビーフ、ラム、チキン、ポークがメインですが、寒くなってくると ”Game” と呼ばれる野鳥(キジ、カモ、ガチョウ、ウズラなど)やシカも、メニューに加わります。クリスマスが近づくと、肉屋さんは店先に野鳥などをぶら下げて販売します。

 肉にはそれぞれ、ぴったりのソースが添えられます。ビーフにはホースラディッシュソースやグレイビーソース、チキンにはクランベリーソース、ポークにはアップルソース。そしてラムや野鳥には、「ミントソース」や「ミントジェリー」。

ロースト肉を絶妙の味にしてくれる!

 生の葉と調味料をペーストにした「ミントソース」は、舌にさわやかな緑を感じます。つるっとなめらかな「ミントジェリー」は、甘さと酸味のハーモニーがポイント。どちらもシンプルに焼いた肉の味をシャープにひきしめ、かつ脂の強い羊や野鳥をさっぱりと食べさせてくれます。

濃厚派はミント入りオランデーズソースで召し上がれ

ロースト野菜にもGOOD!なオランデーズソース

 もっとまったりした味を好むなら、「ミント入りオランデーズソース」がおすすめ。オランデーズソースはフランス料理の基本ソースのひとつですが、英国が誇るフードライター、メアリー・ベリー(82歳!)のミリオンセラー「Mary Berry’s COMPLETE COOKBOOK」でも、ラム料理のページで紹介されています。ちなみに私はこのソースを肉だけでなく、ロースト野菜につけるのが好きです。

■ミント入りオランデーズソースの作り方
1.レモン果汁(10ml・小さじ2)と白ワインビネガー(10ml・小さじ2)、卵黄(3個)を湯煎にかけながら、もったりとするまで泡だて器で混ぜる。
2.溶かしバター(無塩・125g)を少しずつ加え、さらに混ぜる。
3.マヨネーズくらいの硬さになったら湯煎からはずし、刻んだフレッシュミント(小さじ2)を加えて混ぜる
4.塩、コショウで味を調える

 野菜はローストしたジャガイモ、ニンジン、パースニップ(人参に似ているセリ科の根菜。加熱するとホクホクした味)、ゆでたグリーンピースやブロッコリー、マッシュポテト。一緒に盛られたヨークシャープディングまで食べると、もうおなかがいっぱいで、動けません。

 さて、家でサンデーローストをすると、作りすぎてしまうことがありますが、それを無駄にするようなイギリス人ではありません。いちど火がとおった肉や野菜は、細かく切ってパイ生地の中へ。再びオーブンで焼けば、次の日のランチは素敵な「パイ」が食べられます。
 残りものが始まりだった、かどうかは定かではありませんが、「パイ」もパブやレストラン料理の定番の一つ。やはり「イギリスの伝統料理」と言えましょう。

パイ専門店ではサイドメニューにミント入りマッシュピーも!

 オックスフォードの中心街にあるCovered Market には、学生に人気のパイ専門店があります。ビーフパイだけでも、ステーキ&エール、スティルトンチーズ入り、ステーキ&キドニー、チョリソ・オリーブとバタービーンズ入り、ベーコンとエール入りなどいろいろ。他にシカ肉やフリーレンジのチキン、ワイルドマッシュルーム、ヤギのチーズと野菜、インド風豆と野菜、タラや鮭、エビのパイもあり、お肉好きもおさかな好きも、ベジタリアンも楽しめます。グルテンフリーのパイも用意され、いたれりつくせり。


行ってみたい! 人気のパイ専門店

 カウンターでパイを選ぶと、「グレイビーをかける?」「サイドは何にする?」と聞かれます。ここのサイドのチョイスは3つ。マッシュポテト、コールスロー、そして「minted mushy peas」。

 「minted mushy peas」、ミント入りマッシュピーは、エンドウ豆をスープであざやかな緑にゆで、つぶしてから刻んだミントと塩・コショウを加えたもの。豆の甘みが、ミントのほんのりした風味とよく合います。つぶさずに、バターやニンニク、ミントを加えたバージョンは「ミントピー」と呼ばれ、どちらもフィッシュ&チップスやパイの付け合わせによく登場します。
 気取らない店内で食べる、熱々のパイに湯気の立つミント入りマッシュピー。寒さを忘れ、ほっとするひとときです。

熱々のパイとマッシュピー

テラダノリコ[プロフィール画像]

テラダノリコ

大学で教育学と日本近世史を専攻。卒業後、生涯教育を提供する会社で講座企画や運営を経験し、その後メディア系の会社でインターネット教材の編集をする。2015年、結婚を機に英国に転居。オックスフォード在住。

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